役に立たない海外生活の共有

世界のどこかでひっそりと暮らしています。

擬態を爽やかに受け止めた日

ついに晴れの日が来た。
太陽も待ってましたとばかりに全力でギラついていて、朝方まで降っていた雨の水たまりを急いで乾かしている。光、有り余っているんだろうなあ。
じめ~っとしていた部屋も、少しずつ湿度が下がってきた。このまま50%台まで戻して欲しい。

 

わんちゃんも嬉しそうに日向ぼっこしている。

晴れたねー

外に出たらわざわざ部屋の前まで来てくれた。
わんちゃんはここ数日天日干しができていないので更に犬くさい。
「すごくくさいね~」となでていたら、リラックスタイムに突入。

「撮っていいよ」

グラビアアイドルみたいなポージングをご披露された。写真は撮りたいけどそこまでは求めていない。撮ってはあげたけど。
軽くお腹をなでて、蚊に刺されるからさ…と言い訳をして部屋に戻った。

 

せっかく晴れたのに残念ながら洗濯機が直ったという連絡はない。
仕方ないのでたまりまくった下着類を手洗いした。
バックパッカーなどの経験もないので、洗濯物を手洗いという原始的な行為は毎回疑心暗鬼になりながら取り組んでいる。
バケツにお湯をためて洗剤を入れてバシャバシャ。
洗剤の効力を疑っているわけではないが、本当にこれで皮脂や汗の汚れが落ちているんだろうか。

気持ちばかりの柔軟剤を入れてすすぎ、手で絞る。
あまり握力がある方ではないのでほぼびちゃびちゃだが、あとは全力の日光に任せるしかない。

 

ピンチハンガーに洗濯物をセッティングし、屋上に向かっていると上の階の部屋の窓に葉っぱがついていた。

葉っぱ……いや?

色も柄も薄さも完全に葉っぱだが、この対照的な柄が少し気になる。
しかもこんなところに葉っぱってくっつくかね??

 

まさかね、と思いながら横から見てみた。

蛾やん

あまりにも巧妙すぎる葉っぱへの擬態。
真っ白な壁でこの擬態は誰に向けてかはわからないが、人間はまんまと騙された。

虫が苦手な人には申し訳ない。でもこれは芸術的な擬態で、もはや生き物の神秘なのです。そして「うわっ」とならない程度まで画像を小さくしたつもり。

「蛾ァ…」と言いながら、飛び立たないようにそーっと横を通り過ぎた。
その後、帰宅した夫を2階に連れて行き「これ見てん」と紹介。
二人で「っ蛾ァ~!」と唸った。
人間をこんなにびっくりさせて、擬態した甲斐があったね。

 

干しておいた洗濯物は全力日光のおかげで2時間もせずにカリカリに乾いた。
たとえキモい蛾がいたとしても、洗濯ができればそれだけで爽やかな気分になる。
本当に単純な人間で良かった。