洗濯の日。
大家さんに洗濯室の鍵くださいな、とメッセージを送ったら「残念ながら洗濯機が壊れたので使えません」と返事が来た。
なんという絶望。
あの二槽式でほぼ手動の洗濯機をどうやって壊しているんだろう。
この間も脱水槽の排水が詰まっていたし、このアパートには洗濯機すら使えない雑なやつがいる…なんとなく見当はついているけど背の高いあいつだと思う。
数時間後、大家さんからグループチャットが来た。
物干し場の地面に散らばった誰かの洗濯物の写真に合わせて「その辺に服が落ちているから、犬に破られないようにね」とコメントがついていた。
ストレートに嫌味をぶつけてきていてレベルが高い。
そしてこの落ちている洗濯物の持ち主も、背の高いあいつだと思う。
洗濯ができず暇になったので、と言ってもたとえ洗濯ができたとしても暇なのだけど、ざっくりとした一日のスケジュールでぽっかり空いた時間を埋めるちょうどいい暇つぶしは何かないかと考えたところ「そうだ、裏ごししよう」と思いついた。
裏ごし、というのは普段なかなかすることのない作業で、なおかつ『今わたしは何かを丁寧に作っているよ』という自己催眠みたいな効果があるのでたまにやりたくなる。
ちょうど裏ごしをして作りたいものがある。
大好きなカレー屋のつけあわせのマッシュポテト。
今思い返してもよからぬモノが入っていたと思わせる中毒性の高さに夢中になり、一時期は毎週のように通っていた。
そこのマッシュポテトを、このぽっかり空いた時間で作ってみる。
大きめのじゃがいもを2個、一口大に刻んで茹でる。
15分くらい茹でるとほくほくになるので、そのままざるにあげ、そこからへらでつぶしながら裏ごししていく。
芋の裏ごしは生まれて初めてかもしれない。思ったより力がいる。
なんとなく日本の芋よりもねっとりしているので、もしかしたら裏ごし必要なかったかもしれない。
でもこちらにはぽっかり空いた時間があるわけで。
次は芋に練り込むクミンシードをバターで炒める。
写真だけでもいい香りが伝わるはず。そう、想像してください、クミンを。
先日買ったクミンがまあまあなハイペースで暮らしに侵食してきている。
この熱したクミンを、そのまま裏ごしした芋に練り込む。
ぽてっとしたフォルムにトゥルンとしたツヤとバランス良く混ざったクミン。これぞまさにぽてと。
芋をpotatoと名付けた人は多分これを作ったんじゃないかな。
晩ご飯は以前作ったアドボソース漬けの肉を焼き、10ペソで買ってきたトルティーヤでタコスにした。
マッシュポテトはちょっと塩が効きすぎていて、甘さが足りなかった。芋自体の甘みが足りない気もするので、次は少し砂糖も入れてみようと思う。
ぽっかり空いた時間のおかげで、マッシュポテト研究家、爆誕。