役に立たない海外生活の共有

世界のどこかでひっそりと暮らしています。

密室シャワーは命がけ

夕方、シャワーを浴びようと蛇口をひねってお湯が温かくなるのを待っている時、視界の端に何か気配を感じた。
人間の視野の限界であろう100度右、70度下のシャワーカーテンの向こう側、かすかに何かが動いたのがわかる。
まだ髪の毛も濡らしていなかったがそーっとお湯を止め、落ち着いて端の方からシャワーカーテンを見ると、確実に生きているGの影。

 

シャワー中のためもちろんメガネはかけておらず裸眼の視力は0.1もない。でも見える。瞬間的に視力が0.6くらいまでは上がった気もする。
何にせよ、すぐそこにGがいる。
「(うそやん…)」と声にならない声を出し、どうしたらいいか考えるが、こちらは素っ裸という無防備な姿で閉じ込められている。弱すぎる。しかも張り付いている場所は出口側でドアの近く、もう逃げ場はない。

絞り出した大声で昼寝をしていた夫を呼ぶと、どうにか起きてくれたのだけど数分前の自分は律儀にシャワールームに鍵をかけていた。完全な密室をセルフプロデュース。
ぎゃあぎゃあ叫びながらどうにかして欲しいと懇願するも、「いや鍵開けてよ」という押し問答。

絶対にGに触れたくない。こちら側にも来てほしくない。でも鍵のあるドアの方に行くにはシャワーカーテンを動かさねばならずどうしてもGを刺激してしまう。

事件現場 赤丸部分に被疑者

ユニットバスなので、Gがいる反対側の、トイレのある方からならどうにか外に出ることができるかも、とそーっとシャワーカーテンを動かしトイレの上経由で移動しようと試みた。
トイレのフタが自分を支えてくれる強度があるか不安だったので、ダン!!と動いたその瞬間、濡れている足だったのでズルン!!と滑り、床に腰を打ち付けその反動で棚に足をぶつけトイレの便器で後頭部を強打。
「いたぁーーーーーーー!」と叫びながらも必死で起き上がりタオルを取り裸足で外に逃げる。

 

「早くころしてえええええ」と叫びながら錯乱状態の女が飛び出してきて夫もびっくりしていたが、何も知らない夫は冷静にシャワーカーテンにいるGに殺虫剤をかけ無事討伐完了。

バスタオルを抱きかかえた興奮状態のまま、中で起きたことを夫に説明していると「血が出てる」と言われた。
え?と後頭部を触ると、どでかいたんこぶを確認、そして手のひらが赤く染まっていた。確かに血が出るレベルで強打した。そしてどんどん恐怖から痛みのターンへ。

服を着て、濡らしたコットンで後頭部を拭く。傷口は刈り上げた部分だったが後頭部全体の髪にも血がついていてなかなか血の匂いがとれない。

 

今までとても健やかに生きてきたので、転んで頭打って血が出るなんて初めての経験。棚で打った脛からも少し血が出ていた。
幸い血はすぐ止まったが卵型になったたんこぶが痛い。

寝起きの夫は自分の嫁の落ち着きのなさに若干呆れていた。

今後の定位置はここ

もう二度とシャワー浴びたくない。