役に立たない海外生活の共有

世界のどこかでひっそりと暮らしています。

大家さん党

アパートのグループチャットにタレコミが入った。

「洗濯機を使おうとしたらすごく汚れているので使う前に掃除が大変」とお向かいさんが送ってきていた。
確かにいつもすごく汚れているなあ、砂とか砂とか砂とか…と思っていたら立て続けに画像が送られてきた。

砂はもちろん、紙くず、葉っぱ、そして脱水槽には虫の死骸。
確かにこれはチクるに値する汚れ方だ。
使ったあとでこの状態なら多分何も洗えてないんじゃないか。

町全体の砂ぼこりがすごいので、すごく汚れる気持ちはわかるが、使った後に綺麗にしないのは衛生観念の問題。
清潔感もろもろについては、町中ゴミだらけのこの国の人たちに必死に訴えたところで到底伝わらないとはわかっているが、さすがに虫はひどい。わざとか?というレベル。

更には物干し竿もいっぱいなので乾いたら早めに取り込んで欲しい、という旨も書いてあった。

 

もちろん大家さんはそれに対して怒りの長文メッセージで対応。
「このような報告は初めてではありません。最後に使用したのが誰なのかをカメラとスケジュールで確認し、その人の使用を禁止します。また、物干し竿は乾くのに必要な時間だけ使用してください。共存の調和のために、常識、秩序、清潔さを最大限に発揮しましょう」
言っていることはごもっともだ。最後の一文、翻訳アプリの癖だとしても、政治家みたいな言い回しでかっこいい。

 

とりあえず今日は自分が洗濯できる日なので、庭で掃除をしている大家さんに鍵を借りようとしたら「実は誰かが鍵を持ったままで返ってきてないのよ、今調査中なのでわかったら届けるわね」と最近のよくあるパターンで返されてしまった。
なんとなく聞き取れた「investigation」という単語がまた政治家らしさをUPしていた。

仕方がないので掃除機をかけていると、キッチンの近くに見慣れない虫が埃を連れて歩いていた。

どなたですか

 

ううぇっ、と驚き、よく見ると、かなり鈍足でなぜか羽根がセメント色。形的にはカナブン的な?
攻撃性はないと判断し、そーっとティッシュの上に移動してもらい、部屋の外に出て草むらに放り込もうと思って歩いていたらうっかり落としてしまった。
羽根が広がったのでうわああと後ずさりすると、近くで見ていた大家さんが「私が片づけておくわよ」と言い素手で拾って木の近くに放り投げた。

小さいカナブンごときでぎゃあぎゃあ言っている自分も情けないが、大家さんのワイルドさにはさすがに惚れてまうやろ。

結局昼前になっても鍵は戻ってこなかったようで、スペアの鍵を貸してくれた。

屋上から。寝ているコイヌ

すっかり大家さんの信者になってしまった。
全力支持!共存の調和!!