役に立たない海外生活の共有

世界のどこかでひっそりと暮らしています。

歓喜は癒着への第一歩

朝起きてもまだ電気はない。

停電開始から24時間。もう色々と諦めて、とりあえず二度寝した。

 

同じく色々諦めたのであろう大家さん家族が庭の掃除をしていた。

更に停電していることにより水を吸い上げるタンクも動かないから水ももうすぐ出なくなるかもしれない、水の使用も控えめに、と連絡が来た。
なんと。掃除もできない。


部屋の中で、一人でオフラインでもできるゲームに勤しむ。
マインスイーパ、二角取り、Threes、麻雀…
さすがに1日で飽きるかと思ったら全く飽きない。充電がある限り永遠にできそう。

 

完全にただの蔵となった冷蔵庫からぬるいオレンジジュースを取り出して飲んでいたら、か細く《ピー…》という音が。
懐かしの電子音。台所のIH調理器は電気が戻ったらピー、とお知らせしてくれる。
今回はあまりにも長い休みだったため少し掠れているような気がしたけど確かにピーと鳴いた。寝起きの犬みたいな声だった。

止まっていた天井のシーリングファンも動き出し、冷蔵庫もウーンと唸りだした。
みんなおはよう!27時間ぶりの通電。
ドアを開けて外を確認すると、大家さんも喜んだ表情で部屋の前から「やっとよ!!」というジェスチャーをくれた。
そしてこちらには全部屋のエアコンのブレーカーを上げるという重大任務がある。
それを無事終わらせた旨を伝えると「あなたのために部屋の前の花壇を綺麗に仕上げたわよ」と言われた。
確かにだいぶすっきりしているし緑が増えている。なんかほんとゲームばっかりしててごめんなさいって思った。

憩いの場

そして動くたびに再確認する自分の臭さ。
昨晩は自分のあまりの臭さに鳥が飛び立ち、フンまでお見舞いされた。
給湯器がまだ本格的に動き出していないのかかなりぬるめのお湯だったが、3日ぶりのシャワーですっきり。サヨナラ汚れ。また停電時に会おう。

 

洗濯物もたまっているので、大家さんの部屋に行ったら洗濯ね!とすぐに理解され鍵をくれた。
今回の通電の歓喜を分かち合えたことで大家さんとの距離が縮まった気がする。
この勢いでランドリールームの合鍵をくれないだろうか。


もりもり持ってランドリールームへ向かうと、洗濯機の中にはたっぷりの洗濯物が水に浸かっていた。
おそらく洗濯中に停電しまったんだろう。気の毒に。

大家さんに、洗濯機使用中だったので明日リベンジするね、と言って鍵を返却すると「すぐに片づけてもらうよう動きます!」と返事が来た。
その後「残念ながら洗濯機を使用していた彼は夜にしか戻らないらしいので明日朝一洗濯できるよう鍵を渡します」と連絡があった。

少しずつ、確実に癒着関係ができあがってきているのを感じる。

 

そして今朝鍵をもらったはいいものの、しっかり物干し場は埋まっている。
嫌な予感はしていたが、そりゃ夜洗濯したらそのまま干して翌日出かけるよなあ。

 

今大量の洗濯物と、受け取ったランドリールームの鍵を持って部屋で途方に暮れている。