役に立たない海外生活の共有

世界のどこかでひっそりと暮らしています。

コロッケさんって誰

いつも行くタコス屋に昼ご飯を買いに行くと、豊満な2人の女性が食べ物と格闘していた。
タコスではなく、直径5cmくらいの筒状のものに具が詰まっている。おそらくブリトー。

自分のタコスを注文し、出来上がるのを待つ間、そういえばブリトーは食べたことないなあと思いながらその女性たちの闘いをぼんやりと見ていた。
自分が知っているブリトーは、しっとりしたトルティーヤに具材が春巻きのようにギュ!と巻かれていてかぶりつくイメージ。
しかし女性たちは筒状のものから中の具をほじくり出しながら食べている。確かに巻いてあるトルティーヤは直径5cmを超えており、なおかつカリカリな感じなのでかぶりつくのは難しそう。

豊満な女性達でもかなり手こずっているので、この店で軽い気持ちでブリトーを注文してはいけないな、と学ばせていただいた。

 

同じタイミングで、上半身裸の長身細マッチョの男性がやってきた。
その男性の注文を受けて作り出したのは、たっぷりのチーズをふつふつになるまで鉄板で溶かしながら伸ばし、その上に巨大なトルティーヤが敷かれ、タコス10個分くらいの肉とミックスベジタブルが載せられたもの。

まさかこれは

この後、カリカリのチーズをベリッと剥がしながらくるくる巻かれ筒状になったものが半分にカットされ、巨大な2本のブリトーが出来上がった。
作る工程を見たことで、軽い気持ちどころか相当な覚悟があっても注文しづらい、となってしまった。胃が弱いジャパニーズは前後1日何も食べない、くらいの準備が必要だ。

 

夕方、部屋でのんびりしていると大家さん家族が外出から帰ってきた。
帰ってきて早々なんだか騒がしい。何かあったのかなと思っていたら、大家さんからメッセージが届いた。

 

「De casualidad no esta Croqueta con usted?」
アプリで翻訳してみると
「もしかしてコロッケさんと一緒じゃないですか?」

 

え、コロッケさんって誰。
Croquetaというのはメキシコだけで使われる何かスラング的なもの??と思い、色々検索してみるがどう調べてもCroquetaはコロッケだ。

よくわからないので部屋の外に出ると、大家さん一家が口笛を吹きながら何かを探している。
もしかしてあのコイヌの名前がCroqueta=コロッケということ?

ちょうど大家さんが部屋の前にいたので、とりあえずコイヌは来てないよ、というジェスチャーをした。
そこからお向かいさん家族を巻き込んでのコイヌ探しが始まった。

大家さん家族が外出している間、お向かいさんの娘がコイヌをずっとぬいぐるみのように抱っこして連れまわしていたので、疲れてどこかで寝ているんだろうなあと思い、バナナの木の裏や倉庫の床下など隈なく見るが見つからない。
大家さんは「鉄扉の下をくぐって外に出ていったのかもしれない」と諦めモード。さすがにそこまでアドベンチャー気質ではなさそうだけどなあ。

 

しばらく大家さんの娘といないねーと言いながら探していたら、2階から髭もじゃの男性が降りてきた。胸元にはコイヌが抱かれている。
どうやら2階まで着いていき、部屋で一緒に遊んでいたらしい。アパート内でのコイヌの人気凄い。

とりあえず無事だったことで全員胸をなでおろし、よかったよかったと解散した。

 

予期せずコイヌの名前を知ることができた。
そしてまずコイヌが行方不明になると自分が疑われることがわかった。
部屋に連れ込んでいるのが完全にバレている。ちょっと距離を置いた方がいいのかもしれない。

コロッケ色だから?