先日、大家さんが突然バナナを持ってきた。
庭のバナナの木になっているものを6本もぎってきたらしい。
バナナは自分で買うほど好きではなく、家にあったら食べるかなくらいの、雑に言うと、正直どうでもいい存在だ。
ただ大家さんがわざわざ持ってきたバナナとなると話が違う。
今、大家さん一家とはアパート内でも随一の蜜月関係を築いており、セキュリティの3番手(1番:カメラ、2番:犬、3番:自分)としての自覚も芽生えている。
これはありがたくいただかねばならない。
数本はまだ一部青々しい。
一本は既にブヨブヨで、ちょっとどう見てもダメな感じだったので廃棄。
1本は見た感じ食べ頃?のような色だったので、切ってみた。
どうみてもまだ熟れてない。本来のバナナはもっと果汁感があって、こんなに実は引き締まってないはずだ。
とりあえず一口食べてみたが、確実に草の味がした。
「青苦い」という初めて口にする感想しか出てこず、これは多分食べてはいけないものだとすぐわかった。
以前、石垣島に行った職場の人からお土産で島バナナをもらったことがある。
その時は紐でドアノブに吊るし、黄色よりも少し黒くなったら食べ頃、と言われた。
小さいバナナだったので熟れた!と思った瞬間に一気に食べてしまった。
その島バナナに比べると、だいぶ黒くなるまで待たないといけないっぽい。
そして黒くなった段階で、おそらく数時間のうちに食べ頃から廃棄へ変わってしまうとみた。
なんとなく部屋の日が入るところに置いて毎日様子を見ている。
昨日、やっと一本熟れた気配のものがあったので、お腹いっぱいのタイミングにもかかわらず剥いてみたら、ちょうどいい具合のバナナになっていた。そしてちゃんと美味い。
せっかくなので、最後の方のかけらを庭に置いてみた。隠れているイグアナをおびき寄せようという目論見だ。
イグアナがバナナを好んでいるかはわからない。でも葉っぱを食べるなら実も食べるっしょ、という素人なりの期待。
その日イグアナは姿を見せず、バナナもそのままだった。
悔しいので翌日も見守っていたが、出てくる気配はない。
数時間後様子を見に行くと、バナナを置いていた場所からわんちゃんがやってきた。
バナナはない。
「お前バナナ食べたな?」と言うとしっぽを振っていた。
結果、巡り巡って大家さんが飼い犬にバナナをあげただけ、ということになった。
どうにかこの循環に介在して生き残っていきたい。