知り合い数人で飲みましょう、と誘われた。
正直知らない人がたくさんいる大人数の飲み会は、自己紹介や名前を覚えることに意識が集中して、せっかくのごはんをおいしく食べることができないので積極的には参加しないようにしている。
あとパリピ体質は備わっていないので、目的のない飲み会で雰囲気を楽しむ的なことができない。ぶっちゃけしんどい。
数人なら、ということで参加することにした。
缶ビールとおつまみ代わりのお菓子をスーパーで買い、知人の家に向かう。
道すがら、かわいい花スポットがあったので写真を撮った。
花は好きだがなかなか覚えられない。
あ、ブーゲンビリアだ!ともならず、これは、ブーゲンビリア…かな…?くらい自信がない。
これはさすがにGoogleレンズで調べた。
見たことあるような気もするけど、名前を聞いてもピンとこないのではじめましてかもしれない。
南国だからかもしれないが、全ての花が主張が強く、柔らかい色の花はあまり見かけない。
紫陽花のぼんやり感が懐かしい。
30分程歩いて知人の家に到着。
初めて入るお宅なので緊張するなあと思っていたら、玄関に大量の靴が。
「なんか10人くらいになっちゃった」
帰りたい。10人くらいというか20人近くいる。帰りたい。
恐れていた自己紹介、名前を覚える、というタスクが加わってしまった。
誰がどの関係の人で、とかもうどうでもいい。教えてくれなくていい。覚えられない。
適当に挨拶をして、この大人数でゆっくりとご飯を食べるということは諦めて缶ビールを飲む。座る場所もない。
人生において食事を最大の楽しみとしているので、満足のいく食事ができないことは本当に悲しい。一食も無駄にしたくないと思っている。
納得のいかないものを食べるくらいなら食べなくてもいいと思っているので、働いている時も、仕方なくコンビニのサンドイッチを食べる時間しかないなら一食抜いていた。
とりあえず15分でなんでもいいから食べてこい、とか言われた日には『今日お前の家のトイレ詰まれ』と心の中で思っていた。
ちなみにコンビニのサンドイッチがちゃんとした食事じゃない、というわけではなく、仕方なくないコンビニのサンドイッチは大好きだ。
ただ食べるものを自分でちゃんと選ばせてほしい、というわがまま。
結局自分の求める量の5分の1くらいしか口に入らず、ひたすら缶ビールを飲む時間が続いた。
途中、うろ覚えだがカタコトの日本語を話す外国人と京王線沿線の話で盛り上がった気がする。
「セーセキ…」「聖蹟桜ヶ丘ね」
帰り道、豚の丸焼きが頭だけになっていた。
行きはまるまる全身あったのに、美味しくいただかれたんだろう。
酒を挟んだだけなのに、行きと帰りの景色がこんなにも変わってしまうなんて。
花を愛でている頃は幸せだったなあ。
そして翌日の今日、すきっ腹に大量のビールが効いたのか二日酔いで何もできずにずっと寝ていた。
一食どころではなく一日を無駄にしてしまった。
明日からはちゃんとします。