役に立たない海外生活の共有

世界のどこかでひっそりと暮らしています。

闇ペンネ

昨日の5時間にも及ぶエアコンの工事は、今のところ効き具合も特に変わらず、結局どこをどういじったのかはわからないままだ。

近くのガソリンスタンドはゴールがわからない工事をずっとしている。工事が始まって一カ月以上たつが何も進んでない様子。
建物を作っているのか壊しているのかわからない、でも、これぞメキシコ!と思って見ている。

 

業者がいなくなってしばらくすると、久々の雨が降り始めた。ただでさえ雨の前でじめじめしていたのに、ドアを全開にしていたので部屋の湿気も80%を超えていた。

みるみるうちに雨は強くなり、30分後にはどしゃ降り。
部屋の前はあっという間に川になった。

ちゃぷちゃぷ

犬たちも濡れるのは嫌なので小屋に閉じこもっている。
することもないので、晩ご飯のスープでも作ろうとブロッコリーを茹で、他の野菜を切っていると、いつもの『シューン』という音がした。停電だ。

オール電化のこのアパートは電気を奪われると何もできない。結構などしゃ降りだったので嫌な予感はしていた。ちゃんと停電した。

刻まれたにんじんが「我々はどうなりますか…」と心細そうにしている。
幸い5分くらいすると電気が戻った。その隙に、使う材料を全て冷蔵庫から出し、次いつ止まっても良い状態に…!というところでまた停電した。

茹でたブロッコリー、刻んだにんじんとじゃがいも、鍋に放り込まれただけのベーコン、冷蔵庫から出された牛乳、一切れのバター、が放置されることになった。

雨はどんどんひどくなり、大家さんが裸足になって庭の水を流している。
段々と暗くなっていく部屋で何もできず刻まれた野菜を眺めていると、ずぶ濡れの夫が帰ってきた。
川に飛び込んだ後くらい濡れていたので、とりあえず着替えたい…、とシャワーを浴び始める。もちろんオール電化なのでお湯も出ないのに可哀相に、と思っていると「お湯が出る!!!」と喜びの声が聞こえてきた。
なぜお湯が出るのかはわからない。沸かされたお湯がたまたま残っていたりするんだろうか。

 

この後、数回着いたり消えたりを繰り返している合間に、なんとか晩ご飯のスープとトマトペンネまで辿り着いた。

このまま電気がつかなかったら、昼も夜も食べ損ねるところだった。

雨も止み、美味しい美味しいと食べているとまた電気が消えた。
もう外は夜なので部屋は真っ暗。ペンネは暗闇でも食べやすい。フォークを刺せばだいたいヒットする。

まだ見えていた頃

 

その後、数時間復旧することはなかった。晩ご飯が完成したあとでよかった。
茹でかけのペンネは想像するだけで悲しいね。

ひさびさのろうそく生活