大家さんの高校生の息子はとても働き者だ。
数カ月しか見ていないが、まっすぐに育っていると思う。
どういう遺伝かわからないが、背が高く足も細くてすらっとしている（両親ともごく普通の体型）。部活はバレーボール部ですか？という感じ。
頭も小さく、優しい顔をしている。そしてやや声が高めなのでより一層優しそう。
休みの日には車を洗ったり、アパート内の掃除を手伝ったり、そしてたまに友人を連れてきたりしてとても充実しているなあと思う。
年の離れた妹ともよく遊んでいるし、犬の相手もしている。よくこの国でこの感じに育ったな。
たまに彼女も遊びにきていて、先日は暴走族臨時メンバー（大家さんの甥っ子）に「二人はどういう関係？彼女？彼女ってなに？」とめちゃくちゃしつこく絡まれていたらしい。
挨拶くらいしかしないが、多分シャイな方なんだと思う。
ただ夫はなぜか懐かれているようで、コンビニで声をかけられたと言っていた。ずるい、その関係。
昨日は日曜だったので大家さん家族は仲良く出かけて行ったが、息子は一緒に着いていかず出口で見送っていた。少しおしゃれしているので彼女とデートなのかもしれない。
しばらくして、誰かが部屋を訪ねてきたと思ったら息子だった。
「今から少し出かけたいが、アパート入口の鉄扉の鍵を持ってなくて、戻ってきたら電話するので中から開けて欲しい」という内容らしい。
夫はちょうど仕事に行くところだったのでかわりに自分の電話番号を伝えてもらった。
1時間くらいで戻る、と言っていたので全然いいよーと門番役を引き受けた。
そして待つこと4時間。全然帰ってこない。
おい不良息子。どこほっつき歩いとるんや。
町はどうやらまたお祭りの日で、大通りを封鎖してパレードが開催されているらしかった。
せっかくなので少しだけでも見に行きたいと思っていたけど、こちらには息子の帰りを待つという重大な任務がある。
しかし全然帰ってくる気配がない。
19時半頃になっても帰ってこないので、もう最悪入れ違いになっても少し待ってもらおう、とパレードを見に行くことにした。
部屋着のままiPhoneだけ持って飛び出したが、思ったより人が多く盛り上がっていた。
エロいお姉さんがゴリゴリの厚化粧をしてノリノリで踊っていたので写真を撮ったが、よく見返すと多分全員男性だ。でもあまりにも足が綺麗だったので釘付けになってしまった。
なぜメキシコでリオのカーニバルを模しているんだろう。
本場のカーニバルを見たことはないけど、絶対に規模が違いすぎている。なんか大きく《RIO》って書いてあるだけ。
イェイイェイ号も、パレードの中に組み込まれると少しだけ華やかさを増していた。
また見ることができてよかった。いつまでも現役で走って欲しい。
30分くらいで家に帰ったが、アパートには誰も帰ってきていない。
晩ご飯を食べ終えた頃に大家さん家族が帰ってきた。息子も合流したのかと思っていたが見当たらない。
結局息子が帰ってきたのは22時過ぎ。
まさかのパレードに参加していた疑惑が出てきた。
もしかしたらあのノリノリで踊っていたお尻丸出しの足のきれいな女装のお姉さんは息子だったのかもしれない。
いつも大人しい感じだけどまさかあんな一面があったなんて。でもそういう時代だし全然いいと思う！
これからも図々しく成長を見守っていきたい。
